日本料理 進(すすむ)

まえがき

岡山県内でも有数の人気居酒屋「酒囲屋本店」が2020年2月に姉妹店としてこちらの「日本料理 進(すすむ)」をオープンしました。

場所は平和町、かつ丼の「野村」と、「はすのみ」さんの間で、新しくビルが立っています。

 

入り口はひっそりとしているので、ふらっと歩いていても見落としてしまうかもしれないのでご注意を。

 

縦長の店内は、カウンター8席という本当にシンプルなつくり。
色合いや照明によって心が落ち着く雰囲気になっています。

 

本日のコースが一覧で書かれています。
基本の10,000円(税別)のコースは、9品の献立になっています。

 

飲み物のメニューはこちら。

 

「繊細な料理が多いので、日本酒はあくまで料理を引き立たせてくれるもの」を厳選して揃えているそうです。

 

できる限り料理の味を楽しむことに専念したかったので、スッキリとしたものをと思い「村重」という日本酒を選びました。
純米吟醸らしい爽やかな甘さとスッキリさが、イメージどおりでよかったです。

 

おまかせコース実食

〜壱〜 先附

「アスパラの擂り流し」

先付「アスパラの擂り流し」

 

擂り流しとは、よくすりつぶして出汁でのばしたもの。

アスパラの繊細な甘みを感じつつ、上にのっている雲丹、そして昆布パウダーの塩味・旨味で引き締まっています。
中に細いアスパラの穂先が入っていて、柔らかさがありつつも食感を楽しめるバランスの良さ。

この先附を食べた瞬間に「これは楽しみだ!」
そんな風に期待感をもたせてくれました。

コース料理の最初は本当に大事ですよね。

 

〜二〜 御造里

 

上から左回りに、
本マグロの中トロ、赤身、シマアジ、石鯛、きすのあぶり、針烏賊の雲丹のせ

 

出汁醤油は本マグロに

 

こちらは「煎り酒」
日本酒に昆布、かつを、梅を入れて煮詰めたもの。白身魚に合わせていただきます。

手前のきすは、脱水して昆布締めにしているそうで、濃厚な味と独特の食感に仕上がっています。写真では分かりづらいですが、かかっている黒い粉はわかめパウダー。
わかめパウダーに塩も入っているので、そのままできす自体の旨味をいただきます。

針烏賊も3日寝かせているので、ねっとりと旨味たっぷり、雲丹と塩で合わせてそのままでいただくとなんとも贅沢な口どけ。

御造里でも、こうしてひと手間ふた手間かけてあるものをいただくと、ありがたみを強く感じますね。

 

〜三〜 御凌ぎ

「鮎の飯蒸 瞬間燻製」

少し空腹を和らげるために少量のご飯や麺など、という意味で会席料理の献立の一つ。
ふたが閉じられた状態で、中で燻製されています。

 

蓋をあけると燻製のけむりが柔らかく香ります。
燻製のチップはヒッコリーを使っているそう。

 

鮎の腹わらをとってから、ごはんと和えてまたお腹に詰め直して燻製にしてあります。

これまた本当に美味しかった!
もともと魚の腹わたのほろ苦さが好きなんですが、素材そのものが良いからか本当にほのかにワタの感じがありますが、旨味の濃さのほうが強く感じる味でした!

 

骨や頭も揚げてあるのでそのまま食べれますし、

 

この蓼味噌も良いアクセントになってました。

 

〜四〜 油物

「天ぷら三種」
こちらのネタから3種類選びます。

この中から選べと言われたら、そりゃお野菜さん達には申し訳ないけれど海の幸を選ばせていただきました。

 

 

まずは穴子。

今思い返してもよだれが出ますわ。
サクフワの中から穴子の甘さがにじみ出てきます。
ほんの少しの塩でその甘さを引き立たせてることで、悶絶ものの美味しさ。
やっぱり穴子天大好きです。

 

 

今度は「イワシの連島ごぼう巻き」

このイワシはあえて風干しにすることで旨味が凝縮されています。
そして噛み締めた時のイワシの脂のりがすごい!
濃厚なイワシの味とごぼうの相性は間違いないですね!

 

つづいてきす。

きすも風干ししてあるそうで、イメージしていたきす天よりも旨味も食感もどちらも濃厚でした。

 

本当は3種類なんですが、「ぜひこの車海老も食べてほしい」とオススメしていただき、特別に出していただきました。
※掲載の許可をいただいております。本当にありがとうございます。

 

この車海老の天ぷらだけで2回驚かされました!

 

まずはこれ

中心をレアで揚げてくださっています。
衣のサクッとした食感に、火の入った周りのプリッとした食感、そして中心のレア部分のねっとりとした食感。
3つの食感が合わさることで、今まで経験したことのない海老の天ぷらになっていました!
ううぅ…、思い出すとまたあの食感を体験したくなります…。

そして、もう一つ驚いたのがついつい普通に食べてしまって写真を取り忘れた「頭」
海老の味噌ってほろ苦いイメージじゃないですか?
違ったんですよ。
もうただただ甘い!!!
大将に尋ねると、本当に良い海老で鮮度が良ければミソは苦いものではなく甘いんですと。
これは衝撃的でした!

 

〜五〜 口取り

口取りはこういった形でいろんな食材が少量ずついろいろと盛り付けてあるものを指すみたいです。

 

お皿といい盛り付けといい、まさに初夏を感じる一皿ですね。

 

「酢橘いくら」

 

「小鮑塩煮」

 

「沢蟹の唐揚げ」

 

「青梅蜜煮」

 

「姫栄螺(さざえ)」

小鮑と同様に、塩とほのかに感じる梅で煮てあります。

 

「島オクラとモロヘイヤのお浸し」

 

「渡り蟹茶碗蒸し」

渡り蟹の出汁をつかった茶碗蒸しの上に、蟹味噌のあんがかかっていて、ほぼ味付けなしで純粋な蟹の旨味がつまっています。

 

「茄子の翡翠煮」

 

「自家製のするめ烏賊の塩辛」

一般的なものよりもかなり塩分を控えめに、あっさりと食べやすくなっています。
すだちを絞るのもオツ。

この一皿のお料理を作るだけでもどのくらい大変なのか想像つきません!
一つ一つの料理から意図がしっかりと伝わってきて、見ても美味しく食べても美味しい一時。

 

〜六〜 強肴(しいざかな)

「鱧と旬野菜のジュレ掛け」

旬野菜は、とまと、かぼちゃ、おくら。

 

鱧も湯引きするときに、お湯ではなく鱧の出汁を使い、さらに冷たい鱧出汁で締めるというこだわりっぷり。
もちろんジュレも鱧出汁を使っているそうです。

ジュレを口に入れた瞬間に「うわ〜、なるほど〜!」とついついうなずく。
最近なかなか大玉のトマトを食べる機会も減ってきているし、甘いトマトが多いなか、このトマトは鱧の風味を邪魔しないように、さっぱりと程よい酸味を感じるどことなく懐かしいトマトの味。
店主の意図がしっかりと素材から伝わってきて、またそれに共感できる時の喜びってたまらないですね!

 

うつわになっていたトマトは食べやすく切って出していただけます。

 

さてさて、そろそろ終盤。
目の前で炭火で焼いてくれています。

 

〜七〜 焼き物

「岡山和牛の特上ヒレ肉炭焼き」

 

火の入れ方は基本的にレアで出されるそうです。
※もしもレアが苦手な方は事前にお伝えしてくださいとのこと。

炭火でじっくり焼かれているので、赤い部分は残っていますがしっかりと温かく美味しゅうございます。

 

焼き野菜は、じゃがいも(キタアカリ)に鯛の酒盗が乗せられています。

カツオの酒盗の方がポピュラーな気がしますが、あえて塩気の控えめな鯛を使われているそう。
じゃがいものホクホクとした甘さに塩味、そこにお肉とうま〜くバランスとられています。

 

〜八〜 お食事

「炙りかますの棒寿司」
メニューにはとうもろこしご飯とありましたが、仕入れの状況にもよるみたいですが、ご飯物は2種類用意されていて選べるようになっているそうです。

 

鯖とか味の濃い魚の棒寿司だとちょっと重たく感じてしまいますが、今回のかますのようにあっさりとした味のほうがコースの締めくくりとしてぴったりです。

 

〜九〜 止椀

「大蛤のお吸い物」

ほぼほぼ蛤出汁のお吸い物。
五臓六腑に染み渡ります…。

 

最後のこの余韻は言葉に現せません…。
こういうお店で料理を1人で食べることが今までなかったのですが、こうしてみると1人で食べることでこんなにも料理と向き合って楽しむことができるんだと驚きました。

食事の楽しみ方は人それぞれだし、僕自身も料理の楽しみ方を1つにこだわりたいとは思いません。
ただ、こういう御馳走を1人で食べることによって得られる満足感というのは、とても貴重な体験でした。

日常的に食べにいけるお店ではないかもしれませんが、一度はぜひ食べに行っていただきたいお店でした!
予約はお電話でとのことで、仕込みでだいたい13時くらいからはいらっしゃるそうです。

※店舗情報のあとにインタビュー記事を書かせていただいています。

「日本料理 進」の店舗情報

※訪問時の内容になりますので、最新情報と異なる場合がございます。

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インタビュー

今回、ご主人とも話が盛り上がったこともあり、実際にお時間をとっていただき酒囲屋本店代表の酒井啓太郎さんと、日本料理進の料理長である正木裕也さんに取材をさせていただきました。

 

酒囲屋本店代表の酒井さんが考える、正木さんと日本料理進のこと

正木さんに、お店を任せるというのは1年ほど前から考えていたそうです。
酒井さんから見た正木さんというのは、

「とにかく真面目、そして努力家であり嘘がない」

それに合わせて、正木さんの作る料理に良い意味で酒囲屋本店とのズレを感じていたところがあったそうです。

「酒囲屋本店はお店の雰囲気としてはワイワイと賑やかな雰囲気。
そういうワイワイとした雰囲気に合わせた料理とは違いを感じる、そんな正木さんの料理を100%楽しんでもらえるような新しいステージを見てみたかった。」

そんな話をしてくださった酒井さんから感じられる期待感は、僕にも伝わってきました。

 

 

日本料理進を任された正木さんの料理への思い

料理長の正木裕也さんは現在35歳、酒囲屋本店で働き始めたのは5年前。
それまでは約15年間ずっと割烹や日本料理店で働かれていたそうです。

酒囲屋本店でのキャリアにおいて、正木さんがそれまでの修行時代との違いについて話してくださって興味深かったのは

「岡山の超人気店だからこそ仕入れられる、他店で扱えないような極上の素材を調理できるようになったことで料理の幅がさらに広がった」

商売である以上、原価というのは切っても切り離せないもの。
人気店だからこそ他のお店では真似することが難しい原価のかけ方で、良い食材を仕入れられると伺ってとても勉強になりました。

 

正木さんが考える「素材を大切にする」というのは、風味を活かすということだけではなく、食材を一切無駄にしないということ。

例えば今回いただいた御凌ぎの「若鮎の飯蒸」
鮎の飯鮨だと頭から尻尾まで使うことは一般的でも、腹わたまで工夫して使うことは少ないそう。

そんな風に素材全てをどうやって使ったらいいかを考えるが正木さんのこだわりなんだと感じました。

 

カウンター8席、2部制のこだわり

コースも10,000円でカウンターのみ、さらに2部制となると敷居を高く感じる人も少なく無いと思います。実際僕も伺う前はそう思っていました。

でもその理由を聞くと「あぁ、なるほどなぁ」と納得できるものでした。

正木さんの思いとしては「料理を最大限に楽しんでもらいたい」ということ。
スタート時間を同じにすることで、一つの料理に対するお客さんのリアクションも一体感が出てくる。
天ぷらを揚げ始めると、その時間は「天ぷら屋」のような空気感になる。

ジュワー…

パチパチ…

プツプツ…

そういう空気感は、同時スタートでないと絶対に出ない。

揚げ物を出していただく時の高揚感
口取りが出てきた時に感じる季節感

そういったものが同時に出されることによって、お客さんとしても淀みなく料理を楽しむことができる。
さながら客席に座って舞台を観ているようにも思えてきます。

そう、
カウンター8席で2部制というのは、「料理を最大限に楽しんでもらうための配慮」なんだということを、

お話を聞いて、
実際に食事をして、

強く実感できました。

ぜひ五感を使ってこちらの料理を楽しんでいただけたら幸いです。

 

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